火つけて吸うやつ

人間は誰しも、身体に悪いものが好きな生き物だと思う。

酒、煙草、塩分、砂糖。

他にもたくさんあるが、代表的な思いつくものは、ざっと上記の物くらいだろうか。

もちろん、微量ならそれほど影響力は強くないだろう。

摂取しすぎたらの話だ。

親の血が流れているのか、何の因果関係があるのか知らないが、身体に悪いものが好きなのである。

 

今日は煙草について綴ろうと思っている。

私は元喫煙者である。

とはいえ、禁煙してからまだ1週間しか経過していないのだが。

まあこんな話は置いといて。

 

本題に入ろう。

よく、非喫煙者に煙草の良さが分からない、臭いし身体に悪いじゃん。とよく言われる。

しかし、私はこう言い返す。

吸い続けたら美味いと感じるし、煙草吸ってる自分に酔いしれる事が出来るからだと。

何も恥ずかしい事だとは思っていない。

 

例えばの話をしよう。

大抵の人は最初はビールが不味いと感じるだろう。

しかし、無理矢理にでも飲み続ける内に仕事終わりのビールが美味いなどと感じるようになる現象が起こる。

ではなぜ、無理矢理にでもビールが飲めるようになりたいと思うのだろうか。

人それぞれ考えはあるだろうが、大人になれる、かっこいい、最初の乾杯はビールだから、と良い理由を付けようとするだろう。

この原理と同じだ。

 

しかし、私も最初は煙草なんて大嫌いな人間だった。

だから非喫煙者の気持ちも痛いほど分かる。

では、なぜ一日一箱消費するスモーカーになってしまったのか?

 

理由は簡単である。

自分で煙草を買ってしまったからだ。

当時、仲の良かった友達に勧められて、何となく買ったのが最初である。

よく聞く定番な、初めの一歩の踏み出し方だった。

煙草嫌いだったのにも関わらず、心の何処かでは少しは興味を持っていたのかもしれない。

 

 

日本人は誰しも、もったいない精神を持っている。

それ故に私は、咳き込みながらも日数をかけて一箱を消費してしまった。

結果的に、だんだんと慣れてきたせいか不味いとは思わなくなり、何より煙草の醍醐味である煙を出す事が楽しいとまで思えるようになったのだ。

 

ここから全てが始まった。

 

煙草の楽しさを覚えた私は、他の銘柄を吸ってみたいという好奇心から、違う煙草を買っては消費して、また違う煙草を買ってのループにハマったのだ。

最初はメビのオプションパープル、マルメン、ブラメン、クール、ハイライト、他にも吸ってきたが、最終的に一番口と肺にフィットしたのが、ラキストの5ミリである。

 

それからずっと吸い続けているうちに、今度は目的が"楽しい"から"吸う事がかっこいい"に変わっていったのだ。

 

そう、自分に酔っていた。

 

考えが痛いと思われても、私にはよく分からなかった。

女の子が化粧して可愛いと満足するのと同じように、ピアスやネックレスといったアクセサリーを身につけてお洒落するのと同じような感覚だったから。

 

しかし、最近肺が弱ってきていると身を持って危機を感じている。

彼女とも良く将来の話をしたりするのだが、結婚もして子どもを作るとなった時に、何かしらの影響は無いのか、など話し合った上で終止符を打つことに決めたのだ。

 

最期まで煙草を吸って、誰にも気付かれずにかっこよく死にたい人生だった。

だけれど、将来を共に過ごすパートナーが出来た以上は、禁煙することにした。

 

正直、いつまでも禁煙できる自信は無いが彼女と将来の子ども、家庭の為にも頑張って禁煙生活を送ろうと思っている。